昨年、日本でも猛威を振るい、話題になった「デング熱」。

40度を超える高熱、頭痛、発疹などの症状に見舞われた感染者は18の都道府県で160人を超えたといいます。

蚊(日本の場合、ヒトスジシマカ)を媒介することはわかっていても、特効薬も予防ワクチンもなく、ただただ「刺されないようにする」しかない厄介な病気です。

そして今年はもう一つ、同じく蚊を媒介して感染する病気の蔓延が心配されているそうです。

6月13日放送の世界一受けたい授業では、輸入感染症と予防策を防衛医科大学校の加來浩器先生にお話を伺いました。


  
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予防策は水がたまる場所をつくらないこと

代々木公園
出典:https://pbs.twimg.com

昨年は、8月頃東京・代々木公園を訪れた人の間で感染者が突如発生しましたが、人の感染、その前段階での蚊の感染を逆算していくと、東南アジア地域から多くの来訪者が訪れたイベントが、代々木公園で開催されていたことがわかりました。

このとき既に感染していた人がイベントのために来日し、その人を刺したヒトスジシマカがほかの来訪者(日本人を含む)を刺すことで感染したのでは?と推測されるようです。

極端に言うと、夏は蚊に刺されるのが当たり前ですし、病原自身を水際で食い止めることができればさほど心配な病気でもないといえます。

実際昨年の蔓延は、日本では実に70年ぶりだともいわれました。

とはいえ、たった1人の感染者から、蚊を通して次から次へとほかの人にうつってしまう可能性があるのは、やはり恐ろしいものです。

水たまり
出典:http://cache5.amana.jp

ヒトスジシマカに吸われないようにするためには、まずは「発生」を防ぐこと。

一般的に蚊の幼虫・ボウフラは水場にわきますが、ほんのちょっと水がたまっただけの場所でも産卵の可能性がありますから、植木鉢の受け皿など、水がたまりやすいところに注意し、水をマメに捨てるように心がけましょう。

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厚生労働省でも警告「チクングニア熱」

発熱
出典:https://www.med.or.jp

デング熱同様、蚊を媒介して感染し、動物からヒト、ヒトからヒトなどの移り方はしません。

高熱、発熱、関節痛などの症状が見られます。

WHOでは、東南アジア、南アジア、アフリカなどの地域と、中南米のカリブ海エリアでの管線リスクが高いと発表されているようです。

デング熱同様、「刺されない」以外の自衛策はありません。

夏フェス、キャンプなど、屋外での活動が楽しい季節ですが、手足をむき出しにした格好での屋外活動は避けた方が無難です。

チクングニア熱についての情報

SFTST(重症熱性血小板減少症候群)

2011年に中国で発表された、マダニが媒介となった感染症で、日本でも2013年、15の県で110人が感染、32人もの死者が出たという病気です。

マダニはイエダニとは違って野外に生息し、目視で確認できる程度の大きさ(3ミリから5ミリ程度)ではありますが、かまれても痛くもかゆくもない上に、一度かまれると、接着剤様の物質を出して、がっちりと固定されたように吸いつくため、もしもSFTSTの病原菌を持っているマダニにかまれてしまうと、気づいたときには重症化しているというケースが多いのだといいます。

藪にひそみ、二酸化炭素を察知するセンサーでヒトや動物の気配を察知し、ガッと食いついてくるといいますから、想像するだけで恐ろしいですね。

吸血すると体が膨れ上がり、ちょっとしたひと口饅頭のような大きさにまでなります。

ですので、御自分が草薮の近くを歩くときだけでなく、犬を散歩させるときなども注意が必要です。

また、外遊びが好きで活発なお子さんも、手足をむき出しの格好では遊ばせないようにしましょう。

薄い布なら貫通して吸ってくる蚊と違い、マダニは被服である程度防衛できるので、長袖やアームカバーなども有効です。

この病気も特効薬もワクチンもないので、「かまれない」ことが基本ですが、もしもマダニにかまれてしまったら、自分で引きはがそうとせずに病院にいきましょう。

SFTSTに感染しているマダニの場合、無理やりはがそうとして潰してしまい、食いついたところから病原菌が……おっと、全部言う必要はありませんよね。

まとめ

夏に懸念される病気といえば、食中毒や熱中症などがすぐに頭に浮かびますが、食品衛生に気を付けたり、水分を摂ったりと、こちらの方は心して対策している人が多いでしょう。

対して、虫が活発化することと、薄着になることで、昨日まで健康だった人がほんの少しの油断からバタッ、というのが、虫を媒介とした感染症の恐ろしさです。

もちろん、すべての虫が媒介になるわけではありませんが、蚊に刺されたり、マダニに噛まれたりすることで、感染のリスクがほんの少しでもあるのならば、できる自衛はぜひともしていきましょう。