冬場は室内と室外の寒暖差による血圧の急変(ヒートショック)などが原因となり、心筋梗塞のリスクが高まる季節だと言われています。

心筋梗塞とは、心臓の太い血管が詰まることで血液がいきわたらず、心筋が壊死してしまう恐ろしい病気。

狭心症も、血液の詰まりには至らないまでも、血管にプラークと呼ばれる「こぶ」ができ、細くなった血管のせいで十分に血液が行き渡らないことで起こり、心筋梗塞につながることもあります。

どちらも早期に発見・治療をすれば見込みはあるものの、死につながる確率も高いため、十分に注意しなければなりません。

今回は1月17日の「健康カプセル ゲンキの時間」より、そんな恐ろしい病気の原因や前触れの症状をご紹介します。


  
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健康診断結果からわかること

健康診断

病気や体調や日常生活と密接に関係しています。

健康診断を受診したとき、再検査など何かしらの異常があった場合、心配になってお医者さんに診てもらったり、その後の生活態度に注意を払ったりすると思いますが、「自覚症状がないし、忙しいし」と放置してしまうことはありませんか?

身長と体重から割り出されるBMI値、血圧、血糖値、コレステロール、中性脂肪のうち、1つでも異常が見られる場合、心筋梗塞や狭心症にかかるリスクは2倍から3倍と言われています。

例えば太り気味の場合、ただでさえBMIの値が高くなりますが、血糖値が高くなったり、高脂血症のおそれがあったりとセットになることが多いので、なかなかバカにできないリスク上昇だということは想像できますよね。

ここに喫煙など加わったら、さらにアップします。

まずは体重をセーブする、食生活に気を使う、飲酒や喫煙を控える、体に負担がかからない程度の運動を心がけるなど、実行できるところから実行していきましょう。

一見原因不明、実は意外なところに要因が!

男性ホルモン
出典:http://iron.cocolog-nifty.com

ある男性は、健康診断でもこれといった異常値がなく、飲酒や喫煙も習慣がないにもかかわらず、原因不明の動脈硬化が起こり、海外の旅先で急な呼吸困難に見舞われました。

帰国後すぐ病院で見てもらい、手術をして事なきを得たものの、本当の原因がわかったのはその3年後

何と、男性ホルモン「テストステロン」の激しい減少による「男性更年期障害」が指摘されました。

女性の更年期障害に比べて男性更年期障害はあまり知られていませんが、加齢、動脈硬化など、さまざまな病気の原因になり得るといいます。

この男性は、病気の前後に精神的に落ち込んだりする症状が見られたといいますが、ここが男性更年期障害のサインだったのかもしれません。

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こんな症状ありませんか?「前兆のサインはV」

右手の親指と人差し指で「V」の字をつくり、心臓のあたりに置いてみましょう。

ちょっと「進撃の巨人」の「心臓を捧げよ」を思い出すポーズですね。

あの手を変形V字にかえるイメージです。

進撃の巨人
出典:http://mych.jp

心臓には知覚神経がないので、心筋梗塞や狭心症が疑われる前ぶれの症状として、「胸(心臓付近)の激しい痛み」というのは異変としてわかりやすいのでいい(?)として、「脳の勘違い」により、一見心臓とは無関係と思える部位に、痛み、違和感、ずっしりとした重みを感じることがあるといいます。

これをまさに「胸の刻み付ける」のが、「サインはV」という、何だかちょっとどこかで聞いたことがある言葉です。

まず、指の付け根(指の又)の部分が胃、親指の位置に胸板、食道などが位置し、人差し指が指すほうには肩やわきの下(左側)があります。

これに加え、あご、歯の痛みにも要注意

このあたりが点ではなく面、広い範囲でずっしり重い、何となく具合が悪いと感じた場合、心筋梗塞や狭心症を疑う材料になるということを覚えておきましょう。

スーパードクター・天野篤先生(順天堂大学医学部心臓血管外科教授)

2012年、「天皇陛下の執刀医」として一躍有名になった冠動脈バイパス術のオーソリティ。

テレビドラマ『医龍』映画『チーム・バチスタの栄光』の監修も担当なさいました。

2013年、「「心臓移植手術を受けたマウスにオペラを聴かせた効果評価」でイグノーベル賞医学賞部門という意外な「受賞歴」もある、手術手技はもちろんのこと、患者を救いたいという情熱とユーモアを兼ね備えたお医者様です。

【参考】オフポンプ冠動脈バイパス術(日本冠動脈外科学会)

【動画】闘うドクター 心臓血管外科 天野篤教授

著書「一途一心、命をつなぐ」ほか

まとめ

天野先生の手術のモットーは「はやい・やすい・うまい」という、牛丼屋さんをほうふつとさせる3つのキーワード。

「はやい」は「迅速な対応」、「やすい」は「手術費用の低減」、「うまい」は当然、傷痕が目立たないようにする、術後の経過のよさといった手技の巧みさのことです。

それにしても、天野先生は覚えやすくて語呂のいい言葉がお好きなようですね。

医学知識がなくても覚えやすく、日々心臓のぐあいに気を配るにはぴったりで、こういったところにも「1人でも多くの人を救いたい」といった思いがこもっているように思います。