夏は、実は冬と並んで脳梗塞を発症しやすい季節だそうです。
意外でしょうか?それとも納得でしょうか?

夏といえば、特に今年はここしばらくの尋常でない気温上昇もあり、熱中症の予防に注目が集まっていますが、その熱中症に起因して、手足が麻痺したり、コトバがでにくくなったり、ひどくすると意識障害を起こしたり――といったことが、脳梗塞の入り口になったりもするようです。

8月9日の「健康カプセル ゲンキの時間」では、「さっきはできたのに」と「5つの「~過ぎ」」のキーワードに、脳梗塞の兆候や、どんなことが原因になって発症リスクが高まるか、注意喚起していました。


  
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3種類の脳梗塞

脳
出典:http://livedoor.4.blogimg.jp

「脳梗塞」ひとまとめにされますが、

頸動脈など太目の血管の硬化が原因となって起こる「アテローム血栓性脳梗塞」、

心臓や、頸動脈などにできた血栓が血流に乗って脳に運ばれることによって起こる「心原性脳梗栓」、

そして日本人に最も多いと言われる細目の血管のつまりが原因になる「ラクナ梗塞」です。

どの脳梗塞も血管が詰まると周囲の細胞が死んでしまいます。

脳梗塞のサイン「FAST」とは?

脳梗塞の特徴の1つとして、「さっきまでできていたことが“突然”できなくなる」というものがあります。

つまり、「ここ何週間(何日)様子がおかしい」「以前から体調が悪かった」というサインを見極めにくいのが厄介ということです。

順天堂大学の卜部貴夫先生によると、「Face(顔)、Arm(腕、手)、Speech(言葉)、Time(時間)」の頭文字をとった「FAST」という言葉を肝に銘じるとよいようです。

つまり、「顔の歪み」、「手の麻痺」、「言語的な障害」が確認されたら、「できるだけ早く」病院で診てもらうこと。

判断と対応の早さがポイントです。

手足の麻痺や、呂律が回らないような症状が一時的に起こる「一過性脳虚血発作」というものもあり、これはしばらくすると症状が改善することもありますが、1~2日後に脳梗塞に発展する危険も高く、また、よしんば治ったとしても、2度3度と同じ症状を繰り返す可能性もありますし、症状のあらわれる部分に何らかの問題を抱えている可能性も高いので、ちょっとでもおかしいなと思ったら、ためらわずに病院で診てもらいましょう。

ドクターズガイド

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“ミスター・マリノス”こと木村和司さん(57歳)の事例

元Jリーガー、現在はサッカー解説者で指導者の木村和司さんは、たまたま熊本県玉名市でゴルフのプレイ中、足元が“ふわふわ”するような異様な感覚や、ショットを空振りしてしまったことで、ただならぬ自分の体調に気付き、カントリークラブから至近の病院に運ばれました。

そこで脳梗塞(ラクナ梗塞)と診断されますが、対応の迅速さが功を奏し、一命を取り留めました。

スポーツ選手らしい判断の早さはよかったものの、もともとの病院嫌い、激務、大食、大量の飲酒などの普段の生活も浮き彫りになったようです。

木村さんの場合、仕事の忙しさによるストレスと大食から糖尿病を発症し、さらにはこの時診てもらったことで、脂質異常症の診断も下されました。

また、「ほとんど水で割らない焼酎をジョッキに5、6杯」のような飲酒を毎日していたことで、血管内の脱水症状も起きていたようです。

ちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、「なるべくしてなった」という生活だったともいえましょう。

脳梗塞を引き起こす5つの「~過ぎ」とは?

前段の木村さんにも当てはまる

「働き過ぎ」
「食べ過ぎ」
「飲み過ぎ」

に加えて、

たばこの「吸い過ぎ」
それから「怠け過ぎ(運動不足)」

にも要注意です。

運動量やお腹の具合と相談しながらしっかり食事を摂ったり、分量を考え、休肝日をきちんと設けながらのぼちぼちの飲酒ならば問題はないはずです。

ただし、一度脳梗塞や脳梗塞に通じるような生活習慣病を発症してしまうと、その「問題ない」はずの行為にすら制限がつくのだということをいつも念頭に置いて、「腹八分目」「たしなむ程度」「無理は禁物」「意識的な運動習慣」で、予防に努めましょう。

まとめ

「宝水」という言葉を御存知でしょうか。

ペットボトルでおいしい水を安価に供給できる若い人にはピンと来ないかもしれませんが、枕元に水差しを置く習慣のある人がいまして、その水のことを「宝水」と呼ぶことがあるようです。

この水を寝る前に1杯、朝起きて1杯飲む習慣こそ健康のもとということで「宝水」なのでしょう。

熱中症予防のための水分補給は脳梗塞リスクも下げてくれます。

利尿作用の高いコーヒーやお茶ではなく、ベーシックな水を飲んでみましょう。