ゲンキの時間 腎臓病のきっかけの症状は尿のチェックで分かる!

2015年3月22日放送の「健康カプセル ゲンキの時間」のテーマは~総点検!チェックでわかる!~腎臓からのSOS
人間の体の中には数々の臓器があります。
当然ふだんは目には見えませんが、調子が悪くなると、途端に体調や肌質などに影響が出るのでわかりやすいものと、多少調子を崩していても気づかないものとに分かれます。
前者は何といっても胃腸系。
調子が悪くて自発的にお医者さんに診てもらう場合、大体このあたりの不調でないでしょうか。
今回は、後者の典型ともいえる腎臓についてちょっと勉強したいと思います。
肝臓、膵臓と並び、「沈黙の臓器」とも言われている腎臓。
その役割は漠然とは分かっていても、意外と無関心になっていませんか?
ちょっとショッキングな数字
慢性腎臓病患者は、実は国内に1,300万人もいるということを御存じでしょうか。この数字は、実に人口の1割に当たるものです。
しかも多くの人は、気づかないまま生活していることが多いといいます。
早期に不調を発見し、対策をとれればまだいいのですが、万が一悪化してしまうと、移植や人工透析を受ける必要が出てくる場合もあり、人工透析患者数は2011年に30万人を超えたという調査結果もあります。
人工透析とは
「NPO法人 神奈川県腎友会」の樋口一夫さんは、30年以上人工透析を続けていらっしゃるそうです。暴飲暴食、不規則な生活、睡眠不足などが腎臓を傷つけた原因であると振り返る樋口さんによると、透析治療を始めると、「いつも頭の中に透析」という状態になってしまうのだとか。
1回4時間から5時間かかる透析を週に3回という頻度ですから、無理からぬ話です。
それだけでなく、水分摂取や食事の管理もかなり厳しいものが要求されるようになります。
人工透析とは、要するに腎臓の働きを人工的に作った器械(人工透析器)で行うこと。
人間の腎臓の中には糸球体と呼ばれるフィルターのようなものがあり、血液中の毒素などを取り除き、水分(尿)と一緒に排出させる働きがあります。
腎臓疾患になると、このフィルターの機能が落ちたり、機能しなくなったりするわけです。
大体1日に1,500リットルの血液から1.5リットルの尿がつくられ、これを5回前後で体外に排出することになりますが、腎機能が低下すると、この作業を何度も何度も繰り返し行わざるを得ず、回数は多く、尿の量も多くなりがちです。
目安として1日に10回以上トイレに立つ人、殊に夜中に何度もトイレのために目を覚ますという人は、試しに腎機能をチェックしてみてはいかがでしょうか。
NPO法人 神奈川県腎友会
http://kanajin.com/
スポンサーリンク
尿と腎臓の関係
前述のように腎臓のフィルターとしての働きが低下すると、尿に影響が出ます。頻尿や量の増加だけでなく、色や泡立ちにも日頃の生活の中で注意してみるべきでしょう。
まずは色。
目視で透明の黄色ならば問題ありません。
ふだんは薄目(少し濁った水程度)で、たまに黄色が強くなるという方は、ビタミン剤の摂取などで一時的にそうなる可能性もあるので、さほど気にすることはないようですが、茶色っぽい・赤い(さらに進むと血尿状態)という方は、すぐに病院で見てもらうようにしましょう。
糸球体で毒素を除去し切れず、入ってきた血液の色がそのまま出ている状態のため、そういった色が出やすくなるようです。
次に泡立ちですが、尿の色に問題がなく、泡が立たない状態ならばとりあえず安心なのはもちろん、少し尾籠な話をしますと、勢いでできたような、大きくてすぐ消える泡の場合は、そう心配いらないようです。
きめ細かい泡がずっと消えないような場合、尿たんぱくのおそれがあります。
運動の直後、熱を出したとき、疲れが出ているときなどに一時的に出る可能性もありますが、心配な方は診てもらうべきです。
病院に行く前にできるチェック
東京慈恵会医科大学附属病院臨床研修センター副センターの川村哲也医師の指南のもと、まずはチェック。心配なさそうな方なら、現在の生活を心がける目安に、ちょっと心配という方も、早期の対策を打つのに必ず役に立つはずです。
会社などで健康診断を定期的に受けている方は、健診結果票の「尿検査」の項目のうち、「クレアチニン」「尿たんぱく」の2項目を見てすり合わせてみましょう。
それぞれリスクが低い順から「C1~C3」「T1~T3」とあらわされているはずです。
どちらも1段階目のレベルならまず問題はありませんが、例えばクレアチニンが上限ギリギリの数値、尿たんぱくがマイナスではなくプラスマイナスの記号であらわされている「1」の方は、少しだけ気を付ける(気を引き締める)必要があるかもしれません。
どちらもレベル2以上、どちらかがレベル2以上という方は、そもそも所見のところで何らかの注意書きが付されていたり、再検査、精密検査が必要になっているかもしれません。
自己判断で大丈夫だと放置せず、もう一度しっかりと診てもらうことが、早期対策には大事なようです。
なお、参考までに、クレアチニンは筋肉量との相関もあり、日常的に運動する習慣のある人は、数値が高く出る可能性もあるとのことです。
健診を受けていない方、または手元に結果票がない方には、尿以外の要素とすり合わせて見る方法がおすすめです。
まず、血尿や色の濃さが気になる尿が出た場合、腎疾患のリスクは20%程度。
気を付けるべきだが決定打ではない、といったところでしょうか。
ここに「喉の痛みや腫れ」が加わると、80%にまで跳ね上がる可能性があります。
体内に入ってきた菌を排除しようとして免疫物質がつくられ、それが糸球体に付着した結果、血尿が出ているという可能性があるためだといいます。
逆にいうと、風邪や喉の酷使で一時的に痛みを感じた場合でも、血尿が出ていない場合は、腎疾患のリスクはそう高くないことにもなります。
とりあえずお大事になさって、喉をなおしてください。
次に、たんぱく尿の場合。
前にも述べたように、一時的に出る場合もありますから、これだけならば20%程度。
しかしここに、水分の調節が困難になったことに起因する体のむくみが加わると50%、さらに下痢の症状まであらわれると90%……となります。
むくみや下痢も一時的に起こることはしばしばありますから、これもあくまでたんぱくのすり合わせで考えましょう。
日常生活で気をつけたいこと
健康を保持するためにごく普通に行うべきこと、つまりは「バランスよく、規則正しい食生活」と「しっかりとした休眠」が大切です。殊に食事が味の濃いもの、肉類などに偏っていないか、見直してみましょう。
また、妊娠中の女性の方は、「妊娠中毒症」と呼ばれるトラブルを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
この正体は、要するに腎機能の低下ですから、症状が「むくみ」「たんぱく尿」「尿もれ」など、大変わかりやすくあらわれます。
明確に「あなたは中毒症です」と宣告されるほどではなくても、妊娠後期に起こりやすい症状ですが、安心して出産までまっとうするためにも、できれば妊娠初期(もっとできれば妊活中)から、平常時以上に慎重に、腎臓をいたわってあげてください。
まとめ
腎臓がフィルターというならば、換気扇のフィルターのように簡単に糸球体が交換できたらいいのに…と思わないでもありませんが、もしそれができてしまったら、きっと暴飲暴食など無茶な生活の結果、腎臓以外の部分に疾患を生じるだけでしょう。先天的に病気になりやすいという方は別の話として、人間の体はそう簡単には壊れませんが、油断すれば歯どめが利かなくなるものだと心得るためにも、「ここが限界」という点はあった方がいいのかもしれません。
参考にしたいサイト
知ろう、ふせごう 慢性腎臓病(CKD)