2015年3月1日放送の「健康カプセル ゲンキの時間」より、~早めに気づいて予防しよう!~認知症に繋がる「空回り脳」前編をお届けします。

どんなしっかりした人でも(主に年齢が上がってくると、ちょっとした言葉が出てこないために、「あれ」「これ」といった指示語のお世話になってしまうことが多々あります。

物忘れはよくあることと一笑に付したいところですが、それは「空回り脳」かもしれません。

実は空回り脳は、放置しておくと認知症にもつながりかねないといいますから、捨て置くのは大変危険です。

しかし、早めに気づいて自覚して、対策を打つところから、認知症へのルートを断ち切ることができるかもしれません。

健康カプセル ゲンキの時間」では、2週にわたり「空回り脳」をフィーチャーし、原因や対策を探ります。


  
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空回り脳とは?

筑波大学精神医学教授でオリーブクリニックお茶の水協力医師の朝田隆医師によると、「何かを思い出そうとしたときに、思い出すぞという指令が目的地に達した状態が“記憶を取り出す”ということ」そして、その指令がうまく走らない状態が「空回り脳」だそうです。

この記憶の目的地をアパートやホテルの部屋番号に例えると、「101号室にある情報を求め、全く別の、例えば103号室を訪問してしまう」という感じ。

まさに空回りの動きをしているわけです。

あるいは引き出しなどに例えてもイメージしやすいかもしれませんね。

オリーブクリニックお茶の水

〒113-0034 東京都文京区湯島1-5-34
東京医科歯科大学医科同窓会
お茶の水医学会館 2階
03-6801-8717
http://olive-cl.jp/

朝田 隆医師について(ドクターズガイド)

空回り脳→軽度認知障害→そして…認知症

たまの物忘れならば、「空回り」と笑って済ませることも可能ですが、それがさらに酷くなると軽度認知障害へと発展します。

この時点でも、まだ日常生活への支障が出ない程度だと、まだまだ笑って済むかもしれません。

でも、その状態をさらに放置すると……なんと、5年後には7割の人が「認知症」への進んでしまうといいます。

実験「公園からスーパーまでおつかい」

50代から60代の男性・女性2人ずつに、全く同じ課題を出しました。

1、「かりんとう、ゆずこしょう、アボカド、鶏むね肉、ごま油、マヨネーズ、カマンベールチーズ」の7アイテムを買ってきてもらいます。

出発点は公園。
歩いて6分のスーパーまで、地図を持って見ながらいきます。

ただし、買い物用のメモを持っていくことはできません。

1分半メモ用紙を見て「覚えて」出発します。

このアイテム選択は、日常的によく買うものと、めったに買わないものが混在し、それでいてどこのスーパーにも売っていそうなものばかりで、絶妙だなと思いました。

スーパーからの帰り道は地図を没収されますので、「行き」の時点で覚えた道を正確に覚えており、さらに逆に進むことになります。

この実験でわかるのは、「3つの脳の力」がちゃんと働いているかどうかです。

(1)記憶力  
これは、いわずもがなですね。

これが弱まると物忘れが多くなってしまいます。

(2)注意力  
複数のことに注意を振り分ける力のこと。

スーパーでの実験では、例えばマヨネーズを探しているとき、売り場近くにごま油もあったとして「あ、そういえばコレも」と注意を払うことができるか、といったことです。

(3)段取り力  
何かをこなす時の計画や手順をうまく構築できるか。

手際のよい人、悪い人はどうしてもいますが、「やろうと思えばできるのにやらない」が「できない」になってしまわないようにする注意が必要です。

買い物実験においては、必要なアイテムを自力で探さず、すべて店員さんに場所を尋ねたり、支払い時に「幾らぐらいあれば足りるだろう」と大き目のお札を出してしまうことはありませんか。ざっと計算して、金額を言われる前に、スムーズに支払いができるように小銭をあらかじめ用意したりすることも、立派な段取り力といえます。

実験の結果、公園に戻ってこられた方は3人。

女性のお1人は全く問題なく全アイテムを買っていました。

男性のお1人は結果的には間違いなかったものの、途中で「注意力」に課題を見せる行動が見られ、女性のもうお1人は記憶違いから違うアイテムを2品買ってきてしまいました。

一般的に日常的にスーパーに買い物に行くことが多いであろう女性の方が有利な実験なのではとは思っていましたが、メモを持たずにいく以上、記憶違いで間違えてしまうことは男女どちらにも起こり得ることですから、ここはあまり重要でないようでした。

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簡単な軽度認知障害のチェック方法

よくある空回り脳か、軽度の認知障害であるかをチェックするテストもあります。

一例ですが、例えばある人が両手の親指同士を組んで手を翼に見たて、「鳩の形」を作ります。

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これはハト模擬テストと呼ばれ、それを10秒間目視だけした後、「全く同じ形を作れるかどうか」を見るそうです。

外側を向いているのは手の平か手の甲か、指の組み方が左右逆になっていないかなどを見るのですが、正しくイメージできていなければ、正しい形を作ることができません。

正しくできなかった場合、空間認知の障害がある可能性も高いのですが、これは認知症の初期症状だとも言われているそうです。

実際、軽度認知障害の方ですと、3人に1人は正しい形が作れないという結果も出ているとのことです。

空回り脳の原因はどこに?

朝田医師は、テクノロジーの進歩が空回り脳の要因として大きいのではと指摘します。

何かを知りたいと思ったらPCやスマホで検索し、行ったことのない場所でもカーナビゲーションシステムのおかげでスムーズに行くことができ、脳に負担をかけることがない生活が日常化しています。

人の連絡先はすべて携帯・スマホに入っているので、端末が故障したら連絡一つとれなくなってしまうとか、自分の携帯電話の番号を聞かれたとき、「あれ、何番だったっけ」と思い出せなかったり、そもそも覚えていなかったりといった経験はありませんか。

ただ、その理屈でいえば、ハイテク機器を使わない高齢の方なら脳を鍛えられるように思えますが、物忘れはどちらかというと高齢の方の方が激しいイメージもありますし、「ボケ防止になる」とタブレット端末を柔軟操る高齢の方は、むしろ賞賛されるほどです。

ここでもう一つ、朝田医師は「コミュニケーションの欠如」を要因として挙げました。

ひとり暮らしのお年寄りが増えている現状がありますから、単純にイコールで結ぶのは危険としても、何らかの関連はあるのでしょうか。

まとめ

来週8日は、同枠で対策編が放送されるそうです。

楽しみながら認知症予防をするための体と脳のトレーニングとは。

ちょっと気になるところです。

後編の内容はコチラ

⇒ 空回り脳を防ぐ生活スタイルと脳トレとは