消費者庁2015年「バーベキューにおける食品衛生に関する消費者意識の実態調査」によると、調査対象2,000人のうち、バーベキューで食べたものが原因で体調を悪くしたことがある人の割合は6.6%とのこと。

つまり、この調査だけでも100人以上の人が体調不良を自覚したということです。

たまたま少し体調が悪かった、食べ物と相性が悪かったという場合もあるでしょうから、このすべてがニュースでしばしば話題になるような、いわゆる食中毒というわけではないでしょうが、無視できない数字ではあります。

6月19日放送の「健康カプセル ゲンキの時間」では、「夏の身体事件簿」と題し、夏特有の体調不良についてフィーチャーされましたが、そのうち、夏の行楽の楽しみの1つでもあるバーベキューで注意すべきポイントについてご紹介しましょう。


  
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伊藤先生の「ダメ出し」

東京顕微鏡院理事・食と環境の科学センターの伊藤武先生が、キャンプ場でバーベキューを楽しむ人々に、見落としがちな食品管理のポイントをアドバイスしました。

食品衛生学新版 (Nブックス)

バーベキューの醍醐味は、自然と触れ合いながらみんなでわいわい食べることです。

ただでさえおいしい食材が、シチュエーションもあいまって絶好のごちそうになるというわけです。

が、そんな楽しく開放的な気分になることから、食材を運搬するまでに時間が経っていることを忘れがちだったり、いざ食材を網に載せて焼く段になっても、結構と危なっかしいことをしていたりということに気づきにくくなっているとのこと。

牛肉は、20年ほど前に日本中を震撼させてよく名前が知られるようになったO-157に代表される「腸管出血性大腸菌」、鶏肉はカンピロバクターやサルモネラ属菌、魚介類は腸炎ビブリオといった菌が、調理までの過程で付着している可能性があります。

下調理してから現場に持ち込む場合が多いでしょうが、ちゃんと清潔な調理器具で下ごしらえしましたか? 

もちろん普段の食事でも衛生管理は大切ですが、遠隔の場所で調理するバーベキューの場合、運んでいる間にどんどん菌が増殖している可能性があります。

洗浄や消毒に気を使った調理器具を使い、清潔な容器に入れ、なおかつゆとりのある大きな保冷バッグに保冷剤と一緒に入れて運搬してください。

ゆとりのある保冷バッグやケースに入れる必要があるのは、保冷剤の冷気をバッグ内に行きわたるようにするためですので、詰め込み過ぎは禁物。

食べ物を詰め込み過ぎることで冷蔵庫内の冷却能力が落ちるのと同じ理屈です。

冷気は上から下におりるので、保冷剤を仕込む場合、バッグの底部、食材と食材の間、そして忘れちゃいけない「一番上」と、数か所に入れることで、より冷却能力が期待できます。

また、冷凍食材の場合、「冷凍してあるから大丈夫」と思うのも危険です。

保冷もせず「解凍」しながら運搬しているというのは、ちょっと聞くと無駄がないようですが、実は解凍の段階で温度が上がるときに、菌が繁殖する可能性があります。

食材に加熱する場合にも、注意したいことがあります。

鉄板や網の上で肉や魚介を焼く場合、トングや菜箸で裏返したり転がしたりした後、そのままのトングや菜箸でお皿にサーブしたりしていませんか? 

バーベキュー

食材に菌がついていた場合、どんなにしっかりと焼いたとしても、食べ物と菌を一緒にサーブするのと同じことです。

ちょっと面倒かもしれませんが、調理に使う器具とサーブする器具はきちんと分けましょう。

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意外と知らないバーべキューでの危険な行為とは?

その他、バーベキューの下準備として「やりがち」なことの中にも、落とし穴がいっぱいあります。

肉を揉みダレにつけて持ってくる

肉

タレでしっかりと味のついたお肉は本当においしいものですが、揉みこむことで、菌が食材の内側に侵入してしまう可能性が高くなるので、残念ながらバーベキューの下ごしらえとしては非オススメです。

焼きそばの具を肉と野菜をひとまとめにしてパッキング

焼きそば

一見合理的に思えますが、食中毒の予防という観点では×。

肉に菌がついていたら、野菜にも移ってどんどん増殖します。

肉と野菜は別々にパッキングしましょう。

素手で握ってきたおにぎり

おにぎり

そのまま食べたり焼きおにぎりにしたり、何かと便利でおいしいおにぎりですが、素手で握ったおにぎりは、黄色ブドウ球菌が付着している可能性があります。

普段のお弁当に持たせるおにぎりにも言えることですが、家食べるときよりも慎重を期して、食品ラップを使ったり、手袋をしたりして握るのがベター。

残念ながら「焼いて食べれば大丈夫」ということはないようです。

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業務用で、ちょっと大き目のお結びが2個一遍につくれます。三角形に握るのが苦手という方にもおすすめ。

「当たってしまった」場合の対処方法

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出典:http://livedoor.blogimg.jp

食中毒の主な症状は、腹痛、下痢、嘔吐など。

菌によって潜伏期間もまちまちなので、症状があらわれるまでの時間もそれぞれです。

食中毒と思われる症状が出たら、やはりまずは病院に行くことですが、行く前には「下痢止めを飲まない」こと。

下痢止めが効くかどうかはともかくとして、無理やりとめるのは、菌を体外に出す邪魔をするのと同じで逆効果です。

また、脱水症状を起こしてしまうので、水分をしっかりとることが大切です。

ところで、画像として使われているのは、テレビアニメ「もやしもんリターンズ」の1シーンで、登場人物の1人である長谷川遥が持っているのは「コーラ」です。

原作(6巻)にもあったエピソードで、遥の婚約者・龍太がカキを食べてノロウイルスに感染したとき、下剤が欲しいと言う龍太に「下痢を止めるのはだめ」とたしなめると同時に、「糖と水分を同時にとれるコーラで水分補給」ということで「コーラ」を手にしているのですね。

炭酸が吐き気を緩和するという効果も期待できるようです。

コーラで抵抗のある人は、スポーツドリンクなど、体なじみのいい水分を摂るようにしましょう。

冷えたものではなく、常温のものを飲むというのもポイントです。

炭酸が吐き気を緩和というのは、古いアメリカ映画などで「吐き気がするときは重曹を水で溶いたものを匙でゆっくり飲む」という、何だかおばあちゃんの知恵袋的なお話が出てくることがありますが、それでピンとくる人もいるのでは? 

余談ですが、お酒を飲み過ぎて気持ちが悪いというときも使えるようです。水溶き重曹ではなく、飲料として売っている炭酸水でかまいません。

嵐山渓谷バーベキュー場
〒355-0225 埼玉県比企郡 嵐山町大字鎌形2857
0493-62-8844

手ぶらで行っても楽しめます。
http://www.rurubu.com/season/spring/bbq/detail.aspx?SozaiNo=110010

まとめ

冒頭で「6.6%が体調を崩した経験アリ」という調査結果をご紹介しましたが、これを多いと思いますか? 少ないと思いますか?

 万一菌がついていても、しっかりと加熱して食べることで問題がない場合もありますが、たまたま腸内環境が乱れていたり、抵抗力が弱っていたりして、食中毒になってしまうこともあります。

家族で同じものを食べたのに1人だけ当たったり、逆に1人を除いて全員が当たったりと、ケースもまちまち。

つまり「誰もが当たる可能性がある」ことにほかなりません。

いろいろ考え出すと面倒になっちゃうかもしれませんが、せっかくのバーベキューを楽しむためにも、やはり衛生管理にはくれぐれも気をつけて、お腹を大切にしましょう。